破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 ノアは眉を顰めて首を捻る。

「宰相が盗賊から本を買うって、ありなの?」

「さあな。だが、王立騎士を従えられる身分でその特徴だと、俺の知る限りでは宰相が当てはまる」

「王立騎士は紋章を隠していたって頭領は話してた」

「てことは、極秘で動いていたんだろうな」

 アーシェリアスの情報にザックが答えると、ノアは反対側に首を傾げた。

「え~? 料理本のためにぃ?」

 それが図書館から盗まれた本だとしたらレシピ本だ。

 世界に一冊しかない貴重なものではあるが、一国の宰相がお忍びで購入する理由とは何か。

 コスタの話によれば、書かれている文字はどこの言語かわからないという。

(それを解読したくて……とか?)

 アーシェリアスが考え込んでいると、ノアが「ごちそうさまでした」と皿をごつごつとした地面に置いた。

 そして、アーシェリアスとザックを交互に見る。

「理由はよくわからないけどさ、宰相が買ったなら王都に行って本人に聞けばいいんじゃない? ザックなら聞けるでしょ?」

「正直に話すかは別だが、聞くことはできる。が……」

 ザックは乗り気ではないというように表情を渋くした。
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