青薔薇の至愛













「えっ、えっ、朱光さんと付き合ったの?!」



学校に到着してすぐ、昨日ボウリング場から抜けた後の出来事を、一部だけ芽愛ちゃん達に話した。


さすがに朱ちゃんの嫉妬の話は、嫉妬を受けた私自身が恥ずかしいからできない。



「おめでとう優乃~、ずっと朱光のこと好きだったもんね~」


「優乃ちゃんおめでとう、でも付き合うの時間の問題だったから、私分かってた」



不思議ちゃんの葉純ちゃんが、グッと親指を立てる。



「てか、優乃の彼氏が朱光さんか~。
 お似合いだけど、ちょっと心配だな」



言いながら、手に顎を乗せて足を組む芽愛ちゃん。



「ど、どうして??」


「だってあの朱光さんだよ?
 前にも言ったけど、あの人ちょーモテるんだから。
 優乃、覚悟しないと」


「……」


「見張っておかないと、他の女に手出されるかもね」



「……」


忘れてた。


そういえば朱ちゃん、ものすごくモテるんだった。



確か二年生の間では、彼氏にしたい人ナンバーワンなんだっけ??



その人が私の彼氏です、なんて言った日には二年生全員を敵に回しかねない。



「芽愛ちゃん、不安にさせるような事言うのあまり良くない。
 優乃ちゃん泣きそう」


「だってさー、実際そうじゃん?
 まあでも、朱光さんめちゃくちゃ優乃のこと大好きだし、大丈夫そうだけね。
 って、優乃聞いてる?おーい」





芽愛ちゃんの言葉に不安になって、チャイムが鳴ってもボーッとしちゃうほど、その後の授業はまったくと言っていいほど身が入らなかった。






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