青薔薇の至愛
☆
「えっ、えっ、朱光さんと付き合ったの?!」
学校に到着してすぐ、昨日ボウリング場から抜けた後の出来事を、一部だけ芽愛ちゃん達に話した。
さすがに朱ちゃんの嫉妬の話は、嫉妬を受けた私自身が恥ずかしいからできない。
「おめでとう優乃~、ずっと朱光のこと好きだったもんね~」
「優乃ちゃんおめでとう、でも付き合うの時間の問題だったから、私分かってた」
不思議ちゃんの葉純ちゃんが、グッと親指を立てる。
「てか、優乃の彼氏が朱光さんか~。
お似合いだけど、ちょっと心配だな」
言いながら、手に顎を乗せて足を組む芽愛ちゃん。
「ど、どうして??」
「だってあの朱光さんだよ?
前にも言ったけど、あの人ちょーモテるんだから。
優乃、覚悟しないと」
「……」
「見張っておかないと、他の女に手出されるかもね」
「……」
忘れてた。
そういえば朱ちゃん、ものすごくモテるんだった。
確か二年生の間では、彼氏にしたい人ナンバーワンなんだっけ??
その人が私の彼氏です、なんて言った日には二年生全員を敵に回しかねない。
「芽愛ちゃん、不安にさせるような事言うのあまり良くない。
優乃ちゃん泣きそう」
「だってさー、実際そうじゃん?
まあでも、朱光さんめちゃくちゃ優乃のこと大好きだし、大丈夫そうだけね。
って、優乃聞いてる?おーい」
芽愛ちゃんの言葉に不安になって、チャイムが鳴ってもボーッとしちゃうほど、その後の授業はまったくと言っていいほど身が入らなかった。