わたしたちの好きなひと
第13章『走る、走る』
 ※電車の時刻表は精査しましたが可変のものですし
  商業作品ではないので「ここ、テキトーでいいや」で
  少々、時間軸がゆがんでいる箇所があります
  風景も《ぐーぐる散歩》検証すべき? と
  現在の様子を検索したら
  石生の資料館は21年3月まで改装工事中(爆)
  20210130記


第13章『走る、走る』

 最初の訪問地、中山寺駅で、岡本はウォーリー山田をエスコートするように歩きながら、まぶしいような作り笑いを山田に向けた。
「先生、今回はなぜかみんないっしょに降りちゃいましたけど。ここは美術館組のみなさんのスケジュールにはないと思いますので、次は鈴木さんについて行かれるとよろしいですよ」
「そういえば――、あなたが降りるとおっしゃるので、ついてきましたが……。ここ、宝塚駅じゃないですね? どういうことです岡本さん」
「宝塚組は。ふた班ある。――お忘れですか?」
 うわー、岡本、仮面がはげてきた。
 笑顔がきれいすぎて、こわいよ。
 わたしはべつに、このまま大勢でもいいけど…な。
 山田にまとわりつかれるのは、いやだけど。
「目的地が同じなら、より詳細なスケジュールに則ればよろしいじゃないですか。――ちょっと! 鈴木さん、どう思います?」
 指名で手招きされた鈴木さんが、おどおどとわたしを見る。
 わたしは岡本からは見えないように、すすっと山田の影に移動して、鈴木さんにうんうんうなずいた。
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