わたしたちの好きなひと
「ちゃんと受け取れよ、シューコ」
 プリントがまわってざわめく教室で。
 黒板に京都、大阪、兵庫の地図を順番にかけながら、掛居がとなりにいるわたしにだけ聞こえる声でささやいた。
「さっきの……今年の誕生日プレゼントだからな」
「えっ」
 わたしは残ったスペースに板書している最中で、首をまわしたとたんチョークがぽきり。
 掛居は黙って新しいチョークを渡してくれる。
「シューコと恭太とおれ……。3人じゃなくちゃ、2度目の修学旅行の意味ないだろ?」
「掛居……」
「さーて、お仕事、お仕事」

 ぱん ぱん ぱん

 手をたたいて教壇に立つ掛居はもう委員の顔。
「ほーら。静かにしろよ。黒板、見ろぉ」
 けして大きな声を出すわけでもないのに。
 みんなの注目をひきつけられる掛居には、わたしみたいにふつうの子の気持ちなんて絶対にわからないんだ。
 こっちを見てほしくてたまらないひとは、もうわたしなんて見てくれない。
 いないことにされるくらいなら、最初からいなくても同じだ。
「……か…けい……」
 いやだよ。
 今度だけは、掛居がまちがってる。
 自分がのけものにされる物語なんて、みんないらないんだよ。



 ***


すみません。
だれかを好きになるお話は楽しいので
するする書けるんですけど……
これはキビシイ
ぜんぜん進まない(@_@。

ネタバレごめんなさい。
ハッピーエンドです!
  ↑
自分にも言っておかないと…
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