みやとロウ。
―――…




「……なんで、泣く?」


目が覚めて
滲む視界の先には人型のロウがいた


頬に伸びてきた手を握って、泣きじゃくる


「……うっ、う~~っ…」



いとの記憶が、感情があふれてこぼれる



痛い


悲しい


忘れたくない


失くしたくない


思い出したい



なのに




「傷が痛むのか?」



首を横に振る



「嫌な夢でも見たか?」



…。



「……か、…かなし、…夢…」



悲しい



すごく悲しくて



涙が止まらない



「…」


ロウは私を抱き起こして
そのまま自分の膝の上にのせると
私を落ち着かせるように抱き締めて
無言で背中を撫でる


…。


……ロウはいつだって、何も言わず寄り添ってくれる


言葉はなくても
本当に辛い時、苦しい時は必ず傍にいてくれる


決してひとりにはしない



傍にいることで心を癒してくれる




でも





『…そんな顔、しないで』



悲しそうないとの声

悲しそうなロウの表情




ロウが辛い時、悲しい時は




一体、誰がロウを癒してくれるって言うんだろう




そんな事を考えたら
一層涙が止まらなくなった
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