メリーバッドエンド
地元の友達とは仕事が忙しく、ここ最近は全くといっていいほど連絡が取れていない。東京でできた親しい人といえば、ペットショップで働いているみんなしかいないし、過保護な幼なじみは海外で働いている。ダメだ、誰もこの事件に気付けない。

私が絶望に浸っているのに気付いているのか、圭さんは満足そうにしながら私に目線を合わせる。そして私の頭を撫でながら、「じゃあ今からルールを説明するね」と言い、この家で暮らすルールを話し始めた。

「まず、絶対に若菜は外に出ちゃダメ。いつかその手錠とかは外してあげるけど、外に出るのは禁止ね。でも、外に出られない代わりにほしいものがあったら買ってあげる。遠慮しなくていいからね。それで、もしも若菜が逃げたりしたらその時はーーー」

圭さんの目が鋭くなる。私の脳裏には、草食動物を捕らえる肉食獣が浮かんだ。これから何を言われるか、だいたい想像はつく。

「お仕置きするからいい子にしててね?いい子にしててくれたら、若菜の嫌がることはしないから」
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