今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
困惑する私を見透かし弄びながら、意地悪な顔で距離を置く。

「お家に帰してあげるから、たっぷり後悔するといい。素直に欲しいと言えなかった自分に」

くいっと指先で顎を押し上げ、なんの気まぐれか、再び顔を近づける。

「この次、ふたりきりで会えるときは、もっとたくさん可愛がってあげよう。だから、しばしの苦痛を楽しんで」

彼が優しく私の唇を奪う。深く甘く舌を絡めて、その心地よさをたっぷりと教え込む。

でも、そのあとはしてくれない。当然私も『ほしい』だなんてせがめるような性格じゃない。

まるで魔法にかけられたようだ。彼のことが恋しくなる魔法――いや、呪いかもしれない。

再び出会いすべてを奪ってもらえるまで、決して満たされない、私の心を捕らえる呪いだ。


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