解けない愛鎖
ぼんやりと物想いに耽っていると、手の中でスマホが震え始めた。
現実に引き戻されたあたしは、待ちきれなくなった彼が電話をしてきたのだと思って、ふっと息を漏らす。
だけどスマホに表示された着信相手の名前を見たとき、薄らと緩めかけていた頬が引き攣った。
どうして今さら。
一瞬にして真っ白になった頭のなかに浮かんだのは、ただそのひとことだけ。
あたしのスマホを鳴らすのは婚約者の彼ではなく、元カレのヒロキだった。
どうして今さら。
震え続けるスマホを見つめて、もう一度思う。
ヒロキのことだ。このまま出ずに放っておけば、諦めて二度目はかけてこないだろう。
冷たくなった指先に、スマホの振動が伝わって震える。
スマホの画面に表示された名前を見つめて待っていると、留守番電話に切り替わる直前で着信が切れた。
そのことにほっとしたのも束の間、またすぐにスマホが震え始める。着信相手はやっぱりヒロキだ。