解けない愛鎖
今ならまだ引き返せるかもしれない。でも、これが最後になると思うとヒロキのことを突き放せない。
ギリギリのところで惑う、矛盾した感情。
そんなあたしの迷いを打ち消すように、ヒロキが唇に噛み付いてくる。
あたしのことをよく知り尽くしたヒロキのキスは、触れられただけで反応しそうなくらいに心地よくて。
唇の隙間から入り込んだきたヒロキの舌に遠慮がちに舌先を絡めただけで、身体の奥が熱くなってどうにかなりそうだった。
頭の隅に残る理性で絡まる舌を押し返すと、ヒロキが対抗するように、あたしの背中をベッドへと沈めた。
深く絡めとるようなキスをしながら、あたしが触れられるのが好きだったところを、ヒロキの手がじっくりと丁寧に確かめていく。
一年ぶりに重なるヒロキの熱に、あたしの心も身体も高揚し、僅かに残った理性が飛んだ。
ヒロキに激しく攻めたてられて、繰り返し迫りくる快感に腰が揺れる。