路地裏の唄
律は、ケータイである原十郎に育てられた。


元々原十郎は律の父、妃ノ神 映賀(ヒノカミ エイガ)のケータイだったが、身体の弱かった母、音祢を律の出産後すぐに亡くし、いつ命を落とすかもわからない仕事をしていた映賀自身が幼子の律を案じて原十郎に頼んだ。

そして映賀の殉死後原十郎の所有権は律に移り、ケータイが正式な保護者として受け入れられないために孤児院の保護を受けながら成長した。



原十郎にワクチンソフトプログラムがあったため、非常時にはいつも原十郎が対処をしていた。














「…原十郎は、父さんの事も、母さんの事も必要なこと以外は話してくれなかったから、誕生日の日だけいつも聞いてたんだけど、今日やっと話してくれるって、それで…」


原十郎は軽いフリーズ症状を起こし、分子の接近に気が付けず、破壊された。




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