王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
 本当にもう!
 家出するなら覚悟を決めて出ろ。
 謝りもせずにもどってくるとか、ありえねえわ。
 出て行ったのも帰ってきたのも、見えないわからないじゃ、説教しようもないからストレスがたまるばかりだわ。
「遅くなってごめんなさい」
 いやマジで待ちました。
 ここは『女ってやつは!』って大集合体で論じていいところ?
 ()いてるのが女かと思うと、心の中で(ののし)ることさえできやしない。
 女の恐ろしさは、おふくろひとりで充分な経験値を稼いでるからな。
「ぇと、あの子たちは?」
「それがちょっと――…」
 町田は毛玉ふたつを抱えたまま2メートルはあるフェンスを軽々とよじ登って、4面を囲まれた硬式テニス部のコートに毛玉を下ろした。
 今もそこで毛玉と遊んでいる。
「あの、あたし、猫ちゃんは初めてでわからなくて――。大きさを伝えてペットショップの店員さんに勧められたものを買ったんだけど――。加藤くんは大丈夫? 1日2回なんて、その、時間…取れるの?」
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