王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
 ハンカチ。ティッシュ。
 あわててバッグの中をかきまわすおれの横で盛大に鼻をかんで。
 彼女はすとんとしゃがみこんだ。
「町田くんて言ったっけ……。きみは猫の扱い、じょうずだね。――好き?」
 町田もすとんとしゃがむ。
 子猫たちは公平に二手に分かれて甘えだす。
「好きですよ。猫も、…犬も」
「…………」
 ちりちりと首筋をこする違和感。
「あたしにも、この子たち……育てられる、かな」
 おずおずと子猫に伸ばされる平泉さんの手。
 そういえば、餌は与えようとしていたが、なでてはいなかった。
「ココくんのときも、家族にするなら、かわいがるだけじゃだめなんだ、と思って。最初は怖かったでしょ?」
「…………うん」
 一瞬びくっと町田を見た平泉さんが、子どもみたいにこくりとうなづいた。
 町田が立ち上がる。
 平泉さんが子猫たちに両腕を伸ばしたのを見て、町田は地面に向けてバイバイと手を振った。
 再びの違和感。
 もしもーし、町田くん。
 その目線の高さはひょっとして――?
 目で聞いたおれに小さく動く唇「あとで」
 わかった。
 あとでたっぷり!
 聞かせてもらいましょう。


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