王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
 頼むから、おまえまでこんなところで泣かないでくれ。
「おれが言いたいのはつまり――、弟が好きなのと、友だちが好きなのと、比べるなんてナンセンスだってことです。違います?」
「で…も……」
「死んじゃったココくんにしてあげられることと! こいつらにしてやれることは違う。40歳にもなって、そんなこともわかりませんか」
「ぅっ」喉をつまらせて、また平泉さんが泣きだした。
 自分のいじめっ子ぶりに、ほとほとうんざりだ。
「ぅっ、ぅっ、ぅっ」
 でも泣き止まないひとの横で考える。
 見えない、わからないおれにできるのは、考えることだけだから。
 いったい王女さんは、このひとをどうしたいんだ? 
 なにしろ町田は半興奮状態だ。
 瞳をうるうるさせて、頬も見るからに上気している。
 平泉さんは泣いてるっていうのに、その足元に寝転んで、ぺろぺろ自分の足をなめている子猫たちも平和そのもの。
 王女さんの解決したい〔絶望〕の在りかがわからない。
「はぁっ…………」
 細く長く息を吐いて。
 平泉さんが最後のティッシュを取り出した。
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