王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
「町田」
「はい」
「今度から王女さんが、おまえになにか言ってきても、おれには言うな」
「おれ――、声は聞こえないって…言いませんでした?」
 ああもう、本当に。
「おまえは察しちゃうだろうがよ」
 察して。
 気づかって。
 心配をする……。
 ばかだ。
「ココ、いるのか?」
 おれの足元ばかり見ている町田。
「すごい! わかるんですね。おれには気配だけです。さっきから一所懸命さぐってるんですけど」
 やっぱりなぁ。
「そうすると――。また今回みたいに、おまえがいても、わけわかんねぇとこから始まるんじゃないのかよ」
「――すみません」
 なぜ謝る。
 泣きたいわっ。
 ああ、もう!
 ここは素直に王女さんに降参して、虎にも執事任命をしておくか。
 あいつの場合はひつじ?
「…はは」
 笑ってる場合じゃないな、うん。

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