蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目



『雪那、どうしたの?』


『千柳様は
 アップルパイがお嫌いですか?』


『僕、甘い物は好きじゃないからね』


『リンゴ……好きって言ったのに……』


『そのまま食べるのは好きだよ』


『お月様が……アップルパイみたいって……
 言ったのに……』



 唇をぎゅーぎゅー噛みしめて。

 涙が零れないように
 必死にこらえている雪那。




『雪那のお母さんに何か言われたの?』


 俺が雪那の手を握ると、
 雪那は声をあげて泣き出してしまった。



『雪那、どうしたの?』


『おかあ……さんっ……ダメっ……って……』


『ん?』


『千柳さまに……あげちゃ……ダメって……』


『何をあげちゃダメっていわれたの?』


『アップルパイ……
 千柳様が……喜んでくれるかなって……
 思って……作ったのに……』



 そう言って。
 俺の両手をギューギュー握りながら
 雪那は、ワンワン泣きだしてしまった。


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