蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目


 うつむくことしかできない私に、
 驚いたような声が降ってきた。



「雪那、どうしたの?」


「なんでも……ないです……」


「泣いているのに、なんでもなくないでしょ?
 辛いことでもあったの?」




 何が辛いのか?

 どうして、
 こんなに涙が止まらないのか?

 自分でも、理由なんてわからない。


 だから、
 涙の止め方もわからない。




 ただただ俯いて。涙をこすり。

 首を左右に振る。


 そんな私の耳に、
 千柳様の落胆声が響いた。




「雪那……
 何……あの段ボール……」


「荷物を……まとめておりまして……」


「出て行くつもりなの?」


「千柳様……
 今まで……お世話になりました……」



 下げた頭をすべるように、
 私の声も床に落ちていく。



「出て行くって本気なの?どうして?」


 慌てるように、
 千柳様が私の両肩を掴み。

 驚いて顔を上げた私の瞳に、
 千柳様の瞳が映り込んだ。

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