研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
森の祝福を感じながらイリアの心に一つの熱が灯る。
「この森の霧が解けた仕組みも研究したくなって来ちゃった!あとドラゴンの事も、まだまだ調べたりないの!」
抱きかかえてられながらキラキラと輝く瞳をヒューリに向けると、楽しそうに瞳を見つめるヒューリが大きく頷いた。
「イリアがやりたいことなら、なんだってやればいい。一生イリアの隣で、楽しそうな横顔を独り占めさせてもらうからな」
「じゃあ〜ドラゴン・ブラットの事も今後もじっくり調べさせて貰うからね?」
「……それは、随分と苦労しそうだな」
表情が鈍ったヒューリにとびきりの笑顔を向けると、風を切るいくつもの翼の音が聞こえ、ネクリアを覗けばそこには多くのドラゴン達が地上へと姿を表した。
ヴァイルもイリア達の元へとやって来てどこまでも届くような鳴き声を上げると、他のドラゴン達もそれに合わせて鳴いた。
この景色をいつか当たり前にするべく、イリアはすぐ隣でいつも笑ってくれる大切な人と生きていこうと踊る風たちに想いを伝えた。
流れる風は遥か遠い地へそして海を越えた道の世界のどこまでも伝わっていく。
こうして風と共に流れたイリアの想いはいつしか形となり、どの国にも属さない大きな森はいつしかドラゴンの住む楽園となりドラゴンの存在は人々に知れ渡るようになる。
その森は世界的に名のある研究家兼発明家の女性と、彼女を支えるドラゴン族の若き長の夫婦が好きを貫きながら森の守り人として幸せに暮らしているのだという。