昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「ただ俺の指にはめるだけだ。落ち着いて」
 優しく励ませば、彼女は少し強張った顔で頷いた。
「はい。頑張ります」
 盃で失敗したから余計に緊張してるのかな。
 ブルブル震える彼女の手に俺の手をそっと添えた。
「鷹政さん?」
 怪訝な顔をする凛に目を細めて笑った。
「夫婦になるんだから協力してもいいんじゃないかな」
 ふたりで互いの指輪をはめて、微笑みを交わす。
 今、彼女の左手の薬指には青山家の金の指輪と俺が彼女と選んだプラチナの台にダイヤが埋め込まれた結婚指輪がはめられている。
 金の指輪は将来生まれてくるであろう俺たちの子供に渡すことになるが、この結婚指輪は一生つけていくもの。
 これからの人生を凛と一緒に歩んでいくんだ。
 結婚指輪を見て気持ちを新たにする。
 式が終わり、本殿の前で集合写真を撮ると、凛がホッとした顔で言った。
「ちょっと失敗しちゃったけど、式も終わったし、午後の披露宴パーティが終われば今夜は安心してゆっくり眠れますね」
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