昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
一応結婚式ということで今回だけは凛の父親に招待状を送ったが、『父は欠席します』と直史くんが伝えてきた。今は反省してギャンブルも酒も控えているようだが、凛に合わす顔がなかったのだろう。
 俺の祖父や凛の家族と合流すると、みんな凛の白無垢姿を褒めた。
 特に凛の世話をしてきた琴さんは、『凛お嬢さま、とてもお綺麗ですよ』と感極まって泣いていた。
 神社の神職や巫女に導かれて本殿に向かうが、雅楽の音色が聞こえてとても厳粛的だった。
 式では凛がちょっと段取りを間違ってしまうハプニングもあった。
 三三九度の盃で彼女は緊張して御神酒を一気に飲んでしまったのだ。
「あっ、次、鷹政さんの番なのに全部飲んじゃいました。どうしよう」
 凛が声を潜めて俺に助けを求めるが、背後にいる参列者たちにも聞こえていてまずじいさんが大笑いして他のみんなも温かい目で笑っていた。
「大丈夫。どうにでもなる」
 俺もクスッと笑みを浮かべ、空の盃を飲むふりをした。
 指輪の交換になると彼女の手は震えた。
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