昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「ご馳走さま」
 鷹政さんは柔らかな笑みを浮かべ私の額にチュッと口付けると、私の前からいなくなった。
 う……そ。額にキスされた。
 そう理解したら、耳まで熱くなって顔から火が出そうだ。男の人にそんな親しい行為をされたのは初めて。
 恥ずかしいけれどもそれでいて嬉しくて、知らずフフッと笑みが零れる。
「彼に優しさをもらったみたい」
 気付けば雨は止んで、空は晴れ渡っていた。
 雲ひとつない空を見上げ、彼にキスされた額に手を当てながらポツリと呟く。
「また鷹政さんに会えるといいな」
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