昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 青山財閥の総帥なのだから、誰かに命を狙われる危険だってあるだろう。
 みんなが羨む生活をしているかもしれないけれど、彼は私には想像もつかないような義務や責任を背負っているに違いない。
「どうして大事なパーティを抜け出して私のところに来てくれたんですか?」
 はっきりした答えが聞きたくて鷹政さんに尋ねると、彼は長い脚を組みながらフッと笑みを浮かべた。
「こないだのいなりの礼がしたくてね」
「あれは下駄のお礼ですよ」
 すぐにそう指摘したら、彼は少し首を傾げて見せた。
「そうだったかな? まあ細かいことはいいじゃないか。俺の息抜きに付き合ってくれないか? この一週間休む間もなくて疲れているんだ」
「はい、喜んで!」
 とびきりの笑顔で返事をすると、彼は私のお弁当のことを聞いてきた。
「この一週間、どんな弁当を作った?」
「鷹政さんがいなかったからかなり手抜きですよ。いかなごの佃煮とか、そぼろ、肉味噌とか、飯の友シリーズが続きました」
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