不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
ちょうど、洗濯乾燥機から軽快なメロディーが流れ、それを合図に湯船から出た。
軽く拭いた髪のままリビングへ出ると、キッチンに立つ聖也さんは、指先で手招きしてきた。
嬉しくて、つい、そばまで行ってしまう私も大概だと思うが、聖也さんも、どうかと思う。
「まだ、濡れてるぞ」
首にかけていたタオルで、私の髪の水分を拭き取ろうと、わしゃわしゃとタオルで撫でるので、緩む頬をタオルの影に隠すよう俯く。
「同じ香りがする」
そして、気がすむと髪の匂いを嬉しそうに嗅いでいた。
「メイク落としシート、なくなりましたけど、どなたかの忘れ物ですよね。新しく買い直しておきましょうか?」
興がさめた表情で、私の顔を見る聖也さん。
「新品だったろ」
「はい。だから、余計に使って申し訳ないと」
「…俺が、他の女の忘れ物をお前に使わせてるって思ってたわけ?」
声のトーンが低くなり、明らかに不機嫌顔。
「違ったんですか?」
「はぁ…そこまでクズじゃないぞ。お前の為に用意したんだよ」
「私の為?でも、最初に渡された日って…」
聖也さんを襲った日の翌日の夜、再び、抱き合った後だったはずですが…
心の声が聞こえたのだろうか⁈