不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
彼は腕に、私たちの可愛い息子を抱き、お揃いのタキシードをきて待っている。
普段、やんちゃな息子も、今日は、見慣れない人や場所で緊張している様子。
バージンロードを3人で歩いて、皆の祝福を受け、教会の鐘が高らかに鳴った。
驚いた息子は、大泣きで暴れ聖也さんはてんてこ舞い。
「聖(ひじり)、今日は、ママとパパの結婚式だぞ。ママの大事な日に、泣いてていいのか?」
ぐすぐすと言いながらも泣きやんだ聖は、私へ手を伸ばす。
「まぁん」
私を「まぁん」と呼ぶ聖を抱いてあげると、泣きやんでご機嫌になるのだ。
それを、招待客が微笑ましく見ているが、聖也さんは、複雑そう。
パパとしては、息子をママに取られたと思っているのだろう。
しまいに、ニコニコと手を振りだす聖。
「なに、あの可愛さ」
「子役俳優やアイドルになれるわ」
この歳で、女性の心を掴んでしまう我が息子の、将来が不安でもあるが、今日のよき日の記念写真を招待客と一緒に撮影。
「はい、チーズ」
私のほっぺの両サイドから、息子と聖也さんにキスされて…
家族のいるリビングの壁に飾られる写真達の中央に、その日の記念写真は飾られている。
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