不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

「積極的だな。待てないなら、ベット行く?」

揶揄いながらもベットへ行く気もない。
洗面所の鏡の扉の裏から、四角い箱を出した。

香恋のメイク落としではなく、2人が愛し合う為に必要な物。

そんな場所から出てくることに呆れ顔の香恋に見せびらかすように、中から一枚出して咥え、浴室内へ導く。

パッケージを咥えたまま、香恋を洗い、自分もさっさと洗う。

洗い終わると、ぎゅっと抱きつてくるので、体を弄ろと指を動かすと、手を払われ、「どうした」とパッケージを前歯で噛んだままでいたら、くぐもった声になる。

「聖也さんの動作が手慣れてて、嫉妬してるんです。私だけの聖也さんなのに、他の人の影がチラつくのイヤです」

ど超級の嫉妬にニヤつく。

浴室で他の女を抱いたことはないと、言ってやれば嫉妬も減るのだろうが、あえて言ってやる必要はない。

嫉妬している香恋は、俺の予想以上に思考が飛ぶからだ。

咥えていたパッケージを手に持ち替えて、壁に手をつき香恋を追い込んだ。

香恋の目の端に見えるように、チラつかせる。

「嫉妬して可愛いやつ。香恋だけだって教えてるのに、まだ足りない?」

「足りないの。私だけが知る聖也さんを教えて」

「じゃあ…誰にもしたことないけど、避妊せず抱いていい?」

耳元での囁きに、こくりと頷いた。
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