不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
恋人未満の不器用な2人
約束の時間に迎えに来た主任は、白のVネックのTシャツの上にライトグレーの春カーディガン、そしてネイビーのスキニーパンツを履いて、ヘンリーボーン柄のシューズ。シンプルな装いなのに、主任が着るとおしゃれに見えてします。私は、黒の細ニブリット見頃で裾がシースルー素材のフレアなワンピースに、白のブーツ。アクセサリーは胸元にネックレスを一つ。

先週、一目惚れして衝動買いしたが、箪笥の肥やしになる予感でいた服だった。似合わないとわかっていても、気に入り、店員さんにお似合いですよと、のせられて買ってしまった。

デートじゃないけど、やっぱり好きな人には可愛く見られたいと思うのは、女心で…このコーデにするのも、昼から悩んで優香に相談にのってもらって決めたのだ。

2人並んで駅方面へ歩いていると、なぜか手を繋いだカップルが目につく。

「今日は、カップルが多いな」

「そうですね」

私達の住むマンションは、駅の北側にあり、近くには夜遅くまで営業するスーパーもあるし、食品から日用品の品揃えのいいドラックストアもあり、駅の向こう側、表通りに出れば、オフィス街と大通りを挟んで飲食店も多く、昼夜と人が多いが、ここまでカップルが多いと思うことはなかった。
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