不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「はぁっ?ケンカ友達にもならないわよ。ただの生意気な後輩なだけよ。ちょっとは使える人材。ここで辞められたら、私達が彼女に使った労力が無駄になるのよ。腹立つじゃない」
面倒見の良い優香が一番、なんだかんだと中村さんに仕事を教えていたからだろう。
彼女のデスクを眺めている回数が一番多い気がする。
「主任は、中村さんのことで何か言ってないの?」
「大丈夫ってしか…まだ、退職届は出されていないらしいし、そのうち、ひょっこりと出勤するんじゃないかって言ってた」
「へー…」
頬杖をついて、にんまりと笑い揶揄ってくる優香。
ウッ…余計なことを自白してしまった。
「そうか、そうよね。週明けは必ずキスマークをつけてくるぐらいだものね」
「えっ、うそ。そうなの?」
慌てて、コンパクトミラーを取り出して見えそうな位置を探してみる。
「もう、ほとんどわからないわよ。ほんと、主任のいやらしい独占欲に呆れるわ」
「…いやらしい独占欲って」
嬉しさにぽっと頬が赤らむ。
「あからさまに見せつけるようにつけるんじゃなくて、下心を持った男しか見ない場所ってあるじゃない⁈」
「えっ、そんな場所ってどこ?でも、私、モテないよ」