令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
「でも君は、妊娠を報告に来て、人の一生の問題だ、と俺に啖呵を切った。それが常識。君は、合格だ」


黒須類は、なにやら満足げに、


「私事だが、山のように縁談が来ていて、辟易していたところだ。穏便に断るのにちょうどいい。後継者問題も片付くし、ありがたい。そういうわけだから、結婚しようか。安達珠希さん」


その鋭い光を帯びた瞳で私を射貫き、理解不能なプロポーズをした。
私は、大きく目を瞠った。
瞬きも忘れて、呆然と彼を見つめる。


「な……」


なんとか言葉を挟もうとしたものの、喉に引っかかってひゅっと音を鳴らすだけ。
黒須類は、なんとも優美に微笑んだ。
一瞬、その笑みに引きずり込まれ、それが確かな隙に繋がり――。


「ちょっ……っ」


いきなり覆い被さってきた彼に、唇を奪われた。
予想の斜め上をいく事態の連続で、私の頭の中は真っ白になったものの……。


「っ……なに、すんのよっ!」


彼の舌先が、唇を割って侵入してくるより早く、胸を押して突き放した。
急いで、手の甲でゴシゴシと唇を擦る。
肩を動かして息をする私とは真逆に、黒須類はほんの少し背を仰け反らせただけで、ほとんどノーダメージ。
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