令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
「君のお腹の中の子は、俺にとって間違いなく授かりものだ」

「っ……だから、授かったんじゃなくて!」


彼の口から出る神秘的な言葉ほど、白々しいものはない。


「ああ、君に言わせれば、『デキちゃっただけ』だったか」


黒須類は、私の心の奥まで見透かして、先回りする。
言葉の続きを持っていかれて口ごもる私に、ふっと目を細めた。


「言い方はどっちでも構わない。きっかけがAIのマッチングというだけで、子を成して結婚してしまえば、なんてことない普通の家族だ」


AIなんて科学的なことを言うのと同じ口で、運命だの家族だのと論じられても、うすら寒い思いしかしない。
「とにかく」と、彼は結論を急いだ。


「俺の遺伝子を継承する、貴重な子供だ。産んで、俺の家族になってほしい。恋愛はすっ飛ばして、結婚だけしたいという、君の考えにもマッチすると思うけど?」

「…………」

「もちろん、俺と恋をする必要はない。そこは、お互い様ってことでいい」


私は無言で、彼を視界の端に映した。もしも今、誰かが私たちの会話を耳にしたら――。
〝誠実〟なのは、結婚するから子供を産んでほしいと言う彼の方で、頑なに拒む私は、冷酷で心無いと思うだろう。
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