令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
産婦人科クリニックを出た私は、憎らしいほど晴れ渡った残暑の空を見上げてから、がっくりと肩を落とした。
思いに耽るにも考え込むにも、クリニックの真ん前では、さすがにきまりが悪い。


だいぶお腹の大きい妊婦さんが、こちらに歩いてくるのを見て、急いでその場から離れた。
目を伏せ、無駄にせかせかと歩く。


このところ、胃がむかむかして食欲がないどころか、時には嘔気に襲われたりもした。
なんとなく肌艶が悪く、化粧ノリがイマイチだったのも、とっくにお肌の曲がり角を越えていたせいではなかったか……と自嘲する。


仕事に追われていて、体調の異変を真剣に気にし出したのは、この一週間くらいのこと。
もともと生理不順だった。
なんとなくアプリのカレンダーを確認して、最後の生理が七月中旬だったことに気付き、初めて慌てた。


まさか妊娠?と考え、残念ながら身に覚えがあったから、急いで妊娠判定薬で検査をした。
くっきり陽性の結果に焦り、急遽午前半休を取って、近所のクリニックに駆け込んだ。
< 3 / 33 >

この作品をシェア

pagetop