令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
間違いであってほしい……と願っていたけど、無情にも予想通りの診断だった――。


ふと、カフェの前を通りかかって、私はピタリと足を止めた。
無意識に左手首の腕時計に目を落とし、午後の始業時間まで、少し余裕があるのを確認する。
出社後のスケジュールを、頭に巡らせた。


原稿のゲラが二本、午前中のうちに上がってきているはずだ。
チェックして、今日中に印刷会社に戻さなければならない。
再来月号の表紙の件で、夕方、外部デザイナーさんと電話会議があるから、編集長に、オーダー内容に目を通してもらう必要がある。
それから……三歳下の後輩に託した連載企画、『新時代を担う若きセレブたち』の原稿も、そろそろ書き上がるだろうから、赤字入れをしないと……。
 

午後から半日しかないから、いつも以上にやることは山積み。
今日も退社は、日付が変わる頃になると予測。
今、ちゃんと食べておかねば……と、カフェに立ち寄ることにした。
セルフサービス式のカフェで、レジの前のショーケースを覗き込む。
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