Dear my star


 「ストップストップ。真佳、俺迷惑だなんて言った?」

 「言ってないけど、お兄ちゃん優しいから」

 「なるほど。それでよそよそしい態度だったのか。馬鹿だなあ」


 お兄ちゃんは手を伸ばしてがしがしと私の頭を乱暴に撫でた。


 「もう! 髪がぐちゃぐちゃだよ!」

 「あのな、真佳。仲のいい家族もいれば、悪い家族もいる。会話が少ない兄弟がいれば、毎日一緒に遊ぶような姉妹もいる。家族の形なんて人ぞれぞれだよ、正解はないんだから」

 「じゃあ、このままでもいいの……? 私お兄ちゃんに迷惑じゃない?」

 「むしろよそよそしくされる方が困る。変な男に引っかかっているんじゃないかとか、病気なのに隠しているんじゃないかとか、いろいろ勘ぐって頭が爆発しそうになるよ」


 大袈裟に言ったお兄ちゃんに、小さく笑った。



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