Dear my star
頭の中で、白い靄がかかっていたあの人の顔の部分が徐々に鮮明になっていく。もしかして、本当に。
「────お兄、ちゃん……?」
「うん」
「ほ、ほんとに、お兄ちゃん?」
「うん」
昔から自分の名前が好きだった。「真佳」という名前は誰かから呼ばれるだけでも、お兄ちゃんとの繋がりを感じることが出来たから。
そして何度も呼んだ、その名前を呼んだ。何度も何度もその名前を呼んで追いかけた。
必死に手を伸ばせば、必ず困ったように眉を下げて笑い、その手を取って力一杯抱きしめてくれた。無意識に手を伸ばした。
「真守お兄ちゃん……?」
うん、その返事と共に私の手首を掴むと、その人は私を力一杯に抱きしめた。懐かしい匂いがした。懐かしい温もりがした。