Dear my star
「迎えに来たよ、真佳」
あの頃と比べて随分と声が低くなった。でも心地よくて暖かいのは、昔のままなんだね。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんお兄ちゃん────っ」
あああ、と子どものように声をあげて泣き崩れた。お兄ちゃんは何も言わずにずっと抱きしめたまま頭を撫でてくれた。
「もう我慢しなくていいから」という言葉に、いままで堪えてきた分の涙が沢山零れた。
寂しくて我慢した涙、辛くて我慢した涙。でももう半分はうれし涙で、お兄ちゃんは私の目から溢れるたびに拭って小さく笑った。
────それは私たちが兄妹として、笑って泣いた最後の日。胸の痛みに名前を知る前の、幸せで温かい家族の記憶。