Dear my star


「〜〜っ、痛い……」

「ほらー、だから言ったでしょ。ほんとにやるのって」


呆れたようにそう言ったお兄ちゃんはため息をついて私の頭をぽんと叩いた。


手鏡を取って覗き込む。

ファーストピアスはなんの可愛げもない、小さなゴールドの丸い飾りが着いたものだ。


これから一ヶ月は付けっぱなしで、お兄ちゃんに貰ったピアスを付けるのはまだまだ先になりそう。


「そういえば、さっきから何見てるの」


お兄ちゃんが私の手元をのぞき込む。

見えやすいように手にしていたプリントを目の前まで掲げた。


「これ、進路調査のプリントなの。夏休み明けには出さないといけなくて」

「あー、うちの高校進学に力入れてるからね。おれも1年の2学期から色んな模試受けてたなぁ」


懐かしそうに目を細めながら、二つ目のピアッサーを準備するお兄ちゃん。


「真守は進路どうするの?」


今年が受験生のお兄ちゃん。

普段から勉強する習慣はあるようで、毎日決まった時間に机に向かっているのは知っているけれど、とりわけ受験勉強をしている様子はない。

お兄ちゃんのことだからちゃんと考えてはいるんだろうけど、将来の話はしたことがなかった。


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