Dear my star

そんな自分を誤魔化すように、動揺する気持ちを隠して笑う。


「そうです。苗字は違うけど、神崎真守は私の兄です」

「そっか。良かった間違ってなくて。面接練習のときに話でしか聞いてなかったから、間違ってたらどうしようかと思った。……それで、これ真守に渡しといて貰っていいかな。出願に必要なエッセイの添削頼まれてて」


先生はそう言ってクリアファイルに挟まれたプリントを差し出した。


「エッセイ、ですか?」

「そうそう。アメリカって入試がない代わりに、自己紹介のエッセイとか推薦状とか、いろいろ必要なんだよ」


今まであまり現実味がなかったアメリカ行きの話がやっぱり本当なんだと自覚する。

いまさら、私には関係ない話なのに。


「あの、すみません。私今は兄と住んでないんです。兄は神崎の実家に戻ってて、会うこともなくて」

「えっ、そうだったの? そっか、じゃあアメリカに直接送った方がいいか。今日発つって言ってたもんな」


────え?


< 494 / 525 >

この作品をシェア

pagetop