Dear my star
冬休みの作戦を立てながら並んで階段をおりた。
温泉旅行とか行きたいね、なんて話す。
そうなるとお金かかっちゃうな。
生活費として振り込まれているお金には極力手を付けたくなかった。
「アルバイト、してみよっかな」
「え、いいじゃん!一緒に短期でやってみる?」
「わっ、心強いかも」
早速調べ始めた郁ちゃん。
二人してスマホを覗き込んで「何がいいかなぁ」と話す。
その時、
「あ、えーと、生田さん?」
突然階段の上から声をかけられて不思議に思いながら振り返る。
知らない若い男の先生だった。私たちの学年の先生ではない。
「えっと……私ですか?」
「そう!生田さん、ちょっといい?」
ふたりして顔を見合わせる。郁ちゃんも知らない先生らしい。
小走りで階段を駆け上がり先生の前に立った。
「申し訳ない、途中で呼び止めて」
「いえ……あの、それで……?」
「生田さんって、真守の妹なんだよね?」
触れないようにしていた話題に、心臓がはねた。