義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
 そして副会長が前述のように小鳥遊 渉である。ほかにも書記やら会計やら……別の職務についている三年生も多い。
 そのなかでも渉が副会長だというのは、人気のある人物だからというだけではないだろう。
 仕事熱心だから。
 そしてなにかしらの成果をあげたり貢献しているから。
 そういうことが理由に決まっている。
 そしてそれだからこそ。
 妹になった自分も渉の顔に泥を塗らぬように頑張らなければ、と思うのだった。
 それはともかく、梓がおこなった自己紹介に、いろんなひとたちが顔を見合わせた。
 小鳥遊、という名字はそうあるものではない。渉と同じ名字なのは偶然だろうか、と思われたのだろう。
 それにこの生徒会にいるひとのほとんどは、梓より渉と付き合いが長いのだ。兄弟構成だって知られていて当然である。
 どうしよう、どう説明したらいいのかな。
 梓はちょっと悩んでしまった。けれどその前に渉が立ち上がって、梓を示してくれる。
「最近、引っ越してきて転校してきた、いとこなんです。だから名字が同じで……生徒会に入ることになったのは偶然らしいんですけど」
 そのように説明してくれた。しかし梓はちょっと驚いた。
 いとこ、と言われた。当たり前のように嘘だろう。
 だって梓は妹なのだから。血は繋がっていないとはいえ、関係性はそれである。
 なんだかほんの少し、心の中がもやっとした。
 妹だと紹介してくれなかった。
 もしかすると、こんな自分が妹だと知れたらと心配だとか……自分と兄妹なのを恥ずかしいことだと思っているとか……そういうことなんだろうか。
 一緒に暮らすようになって数ヵ月。梓には優しくしてくれて、気に入ってもらえたと思っていた。
 けれど本当は違ったのだろうか?
 梓がそう思ってしまうような紹介の仕方だった。
 けれど、「違うんです。妹です」と言うのもためらわれた。なにしろ渉がそう自称したのだから。
 なので黙ってしまって、こくりと頷いておく。
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