義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
不穏なおつかい
「さ、明日で最終日。もう今日と明日はまとめだからあまり時間もかからないよ。集中して済ませるぞ」
 お盆直前の朝。集合した生徒会メンバーに言ったのは会長だ。みんな、「はい!」といい返事をする。
 今日と明日。それが終われば夏休み中の活動はおしまいだ。ある意味、梓にとっては夏休み本番にやっと入れるともいえる。
 来週からいよいよ合宿があるから、合宿実行委員会はこれからが本番だろう。けれどチェックと協力の立場である生徒会は特にこれ以上仕事はない。
 仕事というなら、合宿が終わってからの反省会くらいで、でもそれは生徒会の全員が出るものではないそうだ。会長、副会長、会計……そのくらい、先輩たちだけだと聞いていた。
 よって、今日と明日が夏休み最後の仕事。
 今日の梓は書類の整理に振り分けられていた。簡単な仕事だけども。
 たくさんある書類を、「これは予算会計」「これは予定管理」「これは決定スケジュール」と分けていく。
 もちろん、メイン書類はしっかり管理されているのに決まっている。これはある意味、メンバーのミスというか……使うためにたくさんコピーを取ったのだけど、うっかり混ぜこぜになってしまったのだ。
 「これじゃ配るのが大変になっちまうなぁ」と会長は苦笑いし、「ちょっとこの整理に入ってもらおう。そうだな……手の空いてる一年生や二年生にお願いしてもいいか」と依頼された次第だ。
 梓たちは素直に指示に従って、生徒会の大きなデスクに大量にあるコピーされた書類を積み、これはあちらに。これはそちらにと振り分けていく。
 難しい書類ではないし、『これは予算会計』とすぐわかるようにしるしがついているので、ぱっと見ただけで振り分けて正しい山に積んでいくことができた。
 なので、軽い雑談をしながら周りの子たちと進める余裕すらあった。
< 78 / 128 >

この作品をシェア

pagetop