義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
 ピンクのシーツをかけたベッドの中。今日お母さんが洗ってくれたシーツはさらりとしていて心地よかった。
 部屋は涼しいし、すぐに眠れると思ったのだけど、なかなか寝付けなかった。
 お腹の中がぽかぽかする。熱いのでも痛いのでもない。
 お腹の中のあたたかさ。
 それはいくつもあって……やはりこれも、ひとつに決められないものかもしれなかった。
 楓の優しさ。もらった気遣い。
 そこからの嬉しさ。
 アイスココアの甘い味。
 そして……渉のことが好きだ、という、楓が『一番素晴らしい』と表現してくれた感情。
 今では、それがどういう意味でもいい、と思う。
 お兄ちゃんでも。
 先輩でも。
 恋をしているひとでも。
 『好き』という感情はとても素晴らしいのだ。ひとを好きになる、というのはすごいこと。
 それに気付けたのがとても嬉しい。
 恋としての『好き』としては、それが高まれば付き合いたいとか彼女になりたいとか、そういうものになるに決まっていた。
 けれど、告白などはよくわからない。していいものか、どうしたものか。少なくとも今のところは。
 でも、この気持ちを持っていてもいいんだと。
 そしてこの気持ちは素晴らしいものなのだと。
 言ってもらえて、自分でもそう思えたことで今はしあわせだった。
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