ずっとあなたが好きでした。
side 翔子
(何、泣いてんのよ、私らしくない……)



そう思っても、涙は止まらない。



今日は、本当に大変な日だった。
たまたま買い物に行った先で、懐かしい映画をみつけて…
つい気になって見に行ったら、そこで潤に出会って……



嬉しかった。
久しぶりに会った潤は、当然だけど昔より大人っぽくて、素敵になっていた。
潤は私のことを覚えててくれて…それだけでも、どれほど嬉しかったことか。



(だけど……)



その後が最悪だった。



(綺麗な人だったな……)



そっか。紗夜とはもう別れたんだな。
きっと、あの人が潤の今の彼女さん。



そんなことを思い出すだけで、涙は勢いを増した。
なんて未練がましいんだろう。



潤にとって、私はただの幼馴染。
それは、昔も今も、そしてこれからもずっと変わらないことなのに。
端から相手になんてされてなかった。
私を女性として見てくれたことなんて一度もない。



幼馴染って残酷だ。
距離はすごく近いけど、ただそれだけのこと。
まるで、空気みたいな存在なんだもん。



だから、諦めたんだ。
紗夜に相談された時、私はやっと潤を諦めることを決めたのに…


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