ずっとあなたが好きでした。
「翔子……?」



急に名前を呼ばれて、振り返ったら、そこには潤がいた。



「じゅ、潤…!」

びっくりしすぎて、気が動転してしまった。



「やっぱり翔子だ。
でも、なんで、ここに?」

「え……そ、そういう潤こそどうして?」

「ぼ、僕はその……だから……面白かったから……そう、面白かったからもう一度見たくなっただけさ。」

そう言って、潤は私の隣の席に腰掛けた。



(潤……)



そう、こんな感じだった。
席もこのあたりだったし、潤は私の右側で……



「翔子も今日は一人なんだろ?」

「え?う、うん。」



『一人』という言葉に、過剰に反応してしまった。



潤には、綺麗な彼女さんがいるけれど、今の潤は一人。
十年前と同じように、今日は二人で映画を見られる。
そう思ったら、それだけで胸が弾んだ。



そんなのは、一瞬だけのこと。
潤が私のものになるわけでもないし、潤が私を好きになってくれるわけでもない。
けれど、それでも、二人だけで一時を過ごせると思ったら、やっぱり嬉しかった。



「潤…どうして今日は一人で?」

「え?」

「だから…どうして彼女さんと一緒じゃなくて、ひとりで…」

「あれは……」

「え?」

「い、いや、なんでもない。
ほら、二日も続けて同じ映画なんて、余程好きじゃないと見に行きたいなんて思わないだろ?
だから、一人で来たんだ。」

「……そうなんだ。」

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