ずっとあなたが好きでした。
日曜だというのに、客入りは昨日と変わらなかった。
前の方は割と空いている。
私は、適当な席に座った。



私は昔からSFやファンタジーっぽい話が好きで…
お気に入りだった本が映画になると知った時は本当に嬉しくて…
その嬉しさを潤と分かち合いたくて、潤を映画に誘った。
友達が行けなくなったからと嘘まで吐いて。
今まで家で一緒にDVDを見ることはけっこうあったけど、二人で映画に行くのは初めてだったから、面と向かって誘えなかったんだ。
その日のために、私は普段、滅多に着ない女の子らしいワンピースを新調した。
ピンクと赤の花柄のものだ。
けれど、やっぱり恥ずかしくて、着ることは出来なかった。



(あのワンピース、結局、一度も着なかったんじゃないかな?)



映画も楽しみだったけど、潤と二人で出掛けることに、私は相当浮かれていた。
並んで腰掛けるだけでも緊張して…
そのことを悟られないようにするのが大変だったな。



もう十年以上も前のことなのに、こんなにはっきり覚えてるなんて、馬鹿みたい。
きっと、私はずっと忘れないんだろうな。
潤と過ごした時間は、どれも私にとっては大切な宝物だから…



そんなことを考えてる時だった。


< 52 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop