ずっとあなたが好きでした。




「じゃあね、おばちゃん。
また来るから。」

「翔子ちゃん、さっきの話……」

「知らない、知らない!
じゃあね!」



しばらく叔母の家で過ごしてから、私は慌ただしく家を後にした。



私が高3の時、父の仕事の関係で、私達一家はこの町を離れた。
引越し先からはなんとか通えないこともなかったけれど、受験生だった私に負担がかかることを考えて、私は叔母の家にしばらく居候することになった。
元々、叔母とは懇意にしてたし、子供のいない叔母夫婦には、とても良くしてもらった。



やがて、私は高校卒業の日を迎え、家族の元へ戻った。
その次の年、叔父が急な病で旅立ってしまった。
まだ心配するような年ではないとはいえ、一人きりになった叔母のことが気にかかり、大学生になった私は、度々、叔母の元を訪ねるようになった。



働くようになってからは、さすがに以前のように頻繁には行けないけれど、電話をしたり、暇をみつけてはこうして遊びに行っている。



ただ、一緒にご飯を食べたり、おしゃべりをするだけだけど、私が行くと、叔母は嬉しそうな顔をしてくれるから。
それが、私の喜びに繋がる。
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