ずっとあなたが好きでした。
「ごめんね。心配かけて。」

「謝ることなんてないよ。
確かに、驚いたけど。」

私はごしごしと、ハンカチで顔を拭った。
きっと、酷い顔になってるだろうけど、もうどうしようもない。
子供の頃からすっぴんは見られてるんだし、潤も今更なんとも思わないだろう。



「本当にごめんね。」

「だから、謝ることなんて…」

私は首を振った。



「あのね、潤…
私、嘘を吐いてたんだ。」

「嘘…?」

「うん。先週の映画…連れと一緒だったって言ったけど、あれは嘘。
あの日はひとりで行ってたんだ。」

ついに言ってしまった。



「えぇっ!?ど、どうして、そんな嘘を?」

潤はかなり驚いた様子だった。



「それは……
潤は彼女さんと来てるのに、私は一人っていうのが、なんか恥ずかしくて…」

これも少し嘘が混じってる。
恥ずかしいんじゃなくて、辛かったんだよね…



「そんなこと、気にすることないのに。
僕だって……」

そこまで言って、潤の言葉は急に途絶えた。
何なんだろう?
潤は何を言い澱んでいるのだろう?


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