ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
私はとうとう、打ち明けてしまった。
偽装結婚生活を送っていた、千秋さんとのこと。そして、双葉にも話せなかった、その結末についても。
それは、この半年。
誰にも話したことのなかった、私の過去。
矢島さんとのことも実家のことも、何一つ知らない創くん。それだからか、私は自然と話せてしまったのかもしれない。
まっさらな気持ちで、聞いてくれるような気がしたから。
「私は、父の呪縛から逃れられない。父の差し金で近づいてきた彼に、ずっと騙され続けてた。挙句、実は婚姻届も出してませんでした......なんて、もう訳が分からなくて。」
話を聞いている最中、彼は一言も口を挟んでくることはなかった。出した紅茶を飲みながら、真剣な様子で話を聞き続けてくれた。
私は、自分自身の記憶を整理するかのように順を追って話を続けた。
ここまで自分の人生を、1から10まで人に話して聞かせたのは初めてのこと。
覚えていない記憶を含めれば、千秋さんに酔っ払って話してしまった、あの日以来かもしれない。
「ずっと彼とは音信不通だったの。忘れたかったし、過去にしたかった。それなのに昨日、突然LINEが来て。きっと、向こうのご両親は知らないんだ。私たちが入籍すらしてない、偽装夫婦だってことも。それから色々あって、もう一緒には住んでないってことも。」