ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜

 もう、喉はカラカラだった。

 カップを見ると、いつの間にか飲み干してしまっていた紅茶。おもむろに立ち上がり、私は冷蔵庫へ向かった。


「めでたし、めでたし。......ってな訳にはいかないけど、そんなところかな。」

 こんな重苦しい話、やっぱり年下の子に聞かせるものではなかった。

 話終わった後、どんよりとした空気を感じ取り、すぐに後悔した。


「でも、話聞いてくれただけでスッキリした。お礼になんか奢るよ。何食べたい?」

 私は、無理やり明るく振る舞った。

 けれど返答はなく、振り返ると創くんは下を向いたまま黙っていた。


「行ってみたらどうっすか?」

「え?」

 しばらく黙っていたかと思ったら、突然口を開いた彼。

 麦茶を入れながらキッチンに向かっていた私は、思わず反応して振り向いた。


「だって、瀬川さん。まだその人のこと好きでしょ。」


 不意打ちをくらい、頭が真っ白になる。

 目を泳がせながら、そっと視線を逸らし言葉も出なかった。


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