恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
「なんのチャンス?」

.「私を沖田先生の恋人にして下さい。
偽りの恋人でかまいません。

期限は半年。

年内まででかまいません。その間に先生を振り向かせます!
ただし、恋人のように私と半年間は過ごして下さい」

「俺がもし君に落ちなかったら?」

腕を組んで見下ろした彼女に、フッと笑い質問すると
ぎゅうっと固く拳をにぎり、ぎりっと奥歯を噛みしめた彼女は、一瞬ぎゅっと目をつぶり、すぐに開いた力のこもったその瞳は、真っ直ぐに俺をみつめ

「その時は今度こそきっぱり諦めて、この想いを終わらせます。

でも、簡単には引き下がりませんから覚悟してくださいね先生。
必ず年内に私のこの恋成就させていただきます!!」


そう、期限は半年。
俺たちは偽りの恋人の約束を半年結んだ。

これで彼女は半年後、俺をきっぱり諦め、俺も彼女を振り切ることができるだろう。

あの父親という名の男は、俺が愛人との間に生まれた息子であっても、自分の利害のために自由に俺を生かしてはくれないんだろう。

望まぬ結婚がこの先待ち構えている未来に、誰も、いいや違うな。

彼女を、そう彼女 "本多真琴" を巻き込みたくはないのだ。

だからどうか俺のことなど早く忘れて幸せになってほしい。

彼女にはこの先の未来、笑いながら自由に生きてもらいたい。
隣にいるのは俺じゃなくてかまわない。

だから半年、思い出を作ろう。

幸せな半年だったといい思い出としてお互いの心に残るように。
< 14 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop