恋する乙女はまっしぐら～この恋成就させていただきます！～

マンションの前に停められた見覚えのある車。

助手席の窓が開いていて私が近づくと

「腹減った。早く乗れ」

と車内からちょっと機嫌の悪そうな声が耳に届いた。

ドアをあけて

「おじゃまします…」

と声をかけて乗り込むと、前を見たままの先生の横顔は間違いなく不機嫌そうだ。

私がプツリと途中で電話を切ったせいか、それとも空腹のせいなのか、いや、そもそも疲れていて私が夕飯に誘ったこと事態迷惑で仕方なく来てくれのかもしれない。

「えぇっと…先生お疲れ様でした。それから今日は…」

恐る恐る話しかけた私の言葉を

「真琴、飯はもう食べたのか？」

とさえぎり急に私のほうに顔を向けたので、至近距離で目が合い私の心臓がおもいっきり跳び跳ねた。

小さく左右に何度も頭をふるとハザードランプを消してウインカーを出して車はゆっくり走りだした。

「めかしこんできたとこ悪いが行きつけの店に行く。
時間も時間だからな。
早く飯をすませて家に帰って寝ないと明日も朝早いんだろ？」

そう言って走ること数分。先生が連れてきてくれたのは近所の小さなラーメンやさん。
美味しいと聞いたことはあったが、いつも店内は男性客ばかりで気にはなっていたが１度も入ったことのない店だった。