恋する乙女はまっしぐら~この恋成就させていただきます!~
そう、昨夜の懇親会は若手の医師や女医、病院経営者の娘も集めた情報交換の場でもあり、見合いのパーティーでもあったのだ。

ただし、声をかけられた時に医院長から一言こうも告げられた。

「君に大切な女性がいるのなら、一緒に同伴して参加してかまわないよ」と。

そう、俺は見合いなんてする気もなければこの先結婚をする気もなく、恋人を作ることも考えてはいない。

だからこの懇親会の声がかけられた時、どう断ろうか一瞬言葉につまり、近くにいたその人物にきがつくのが遅れてしまった。

気がついた時には俺の腕にしがみついた "本多真琴" が叫んでいた。

「ダメです!医院長!!
私が沖田先生と一緒に行かせていただきます!!」

「っ!!」 

「…沖田先生、それで…いいのかな?」

俺たちを見る目が一瞬細められ、やわらかな笑顔を浮かべた医院長が唖然としている俺に確認してきた。

(これは…。医院長にはめられた…か?
くそっ!こうなったら、とりあえず…しかたない…か)


大きく息を吐き出すと、俺はこの時医院長に答えた言葉を再びみんなの前で繰り返した。

「俺と本多真琴は恋人だ(です)」

と…。
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