リアル
村上は今週に入って三度も店に来てくれた。


うちの店は指名などナイのだが決まってアタシが着いた。


アタシは村上との会話に夢中になった。

と、言うより村上に夢中になっていた。

「今度、旅行に行こうよ。」


綺麗な声で村上が言う。


「はぃ。旅行行きたいです。」


こんな会話なんて日常茶飯事だ。


適当に頷いてあとは流してしまえばいぃのだ。


しかしアタシは内心本気にした。


村上と一日中一緒にいられる。


そぅ考えただけでアタシの胸は高鳴る。


その時だ。


「麻波ちゃん、あっちのテーブルで麻波ちゃん呼んでるからちょっと行ってきて頂戴。」


酒焼けした声でママが指示した。


「あっ...はぃ。わかりました。」


アタシはまだまだ村上と一緒にいたかった。


心の中で舌打ちをした。


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